どうも、宇宙ヤバイchの中の人のキャベチです!
今回の動画は宇宙ヤバイchをよく見てくれているとても宇宙に詳しい後輩、Gkge君に文章執筆のお手伝いをしていただきました!
(彼のツイッターアカウントはこちら)
そして今回のテーマは「数値的に地球と似ている惑星」で動画をお送りしていきます。
目次
太陽系には水星や金星など、地球に全然似ても似つかない惑星しかなく、一番似ているとされる火星であっても液体の水すら今や殆ど失われています。
ですが太陽系の外に目を向けると、意外と太陽系の近場には太陽系の惑星よりも地球に似ているかもしれない太陽系外惑星がたくさん存在していました!
今回は、実はそんな意外と近くにもある地球に似てるかもしれない惑星達についていくつか紹介していきたいと思います!
ESI(地球類似性指標)
実は惑星が地球に対してどれだけ似てるかを示す指標があります。
それは「ESI」と呼ばれる指標ですが、日本語では「地球類似性指標」と言われます。
このESIの値が1に近いほど地球に似ている惑星ということを意味しています。
参考までに太陽系内の天体のESIの値は、火星が0.697、水星が0.596、金星が0.444、木星が0.292となっています。
今回はESIの値が判明している惑星はこのESIも一緒にご紹介していきたいと思います!
なお、このESIの値は短期間のうちに変化することがあります。
動画で紹介するESIは動画投稿時点のものであることに注意してください!
まずは現時点で最もESIが高い惑星を見てみましょう!
ティーガーデン星を公転する最も地球に似ているとされる惑星
今のところ最も地球に似ているとされる惑星は、2003年に発見されたばかりの恒星「ティーガーデン星」を公転しています。
地球からは12.5光年離れています。
そんなティーガーデン星の周りで生命にとって必要不可欠な液体の水が存在できる「ハビタブルゾーン」の中に2つの惑星が公転している事がつい先日確認されました!
この惑星系において特に重要なのは、ティーガーデン星の「大人しさ」です。
どういう事かというと、それは次の惑星と一緒にまとめて紹介します。
ティーガーデン星系の惑星のうち、内側を公転している惑星のESIはなんと0.95!
これは数ある系外惑星の中でも現状トップの値で、外側の惑星も0.68とまずまずといった具合です。
しかし、他にも太陽系の近くに地球に似ている惑星はいくつか存在しています!
それらの惑星も一緒に見ていきましょう!
プロキシマ・ケンタウリb
2つ目の惑星は「プロキシマ・ケンタウリb」です!
この惑星は太陽以外で太陽系に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリを公転しており、また水が液体として存在できるハビタブルゾーンの中を公転していたので発見当初、とても大きな注目を集めました。
太陽系からは約4.2光年しか離れておらず、質量は地球の1.3倍以上、表面温度は-39℃とされています。
人間が住むには寒い環境ですが、北極や南極くらいの気温だと考えると十分生命が存在できる可能性はありそうです。
また地球に近い事から、これからさらに詳しい探査が行われるとされており、今は亡きスティーブン・ホーキング博士も参加していた、超小型探査機にレーザーを当てて加速させプロキシマ・ケンタウリbを探査する「ブレークスルー・スターショット」とよばれる計画が構想されています。
この計画では、計算上プロキシマ・ケンタウリbまでは20年で到達可能であるとされています。
ひょっとしたら生きているうちに太陽系外惑星の姿を間近で見る日が来るかもしれません!
このプロキシマ・ケンタウリbのESIは0.87!
これはかなりの高水準で、動画投稿時点で知られている系外惑星の中では5位タイにランクインします!
ティーガーデン星の惑星との大きな違い
しかし実はこのプロキシマ・ケンタウリb・・・、生命が存在できるとしても、ある重大な脅威にも晒される可能性があります。
ここで先程のティーガーデン星の惑星との大きな違いが明確になります。
プロキシマ・ケンタウリのような小さな赤色矮星は「閃光星」と呼ばれる、巨大なフレアを頻繁に引き起こすタイプのものが多く、プロキシマ・ケンタウリはそのタイプに該当するため、プロキシマ・ケンタウリbは強い放射線の影響を受けている可能性が高く、大気や水が残されていない可能性が示されているんです。
それに対して、ティーガーデン星はフレアがほぼ観測されてない大人しい恒星のため、その惑星にいる生物は比較的安定して住む事ができそうなので、ティーガーデン星の惑星のESIが高くなっていると考えられます。
しかし、たとえ生命が居なくてもこの約4光年という近さにあることから、これからの観測や宇宙開発で重要な役目を担うことにはなるでしょう!
ロス128b
3つ目は11光年離れている「ロス128b」と呼ばれる惑星です!
このロス128bは2017年に発見され、地球の1.4倍以上の質量を持ち、表面温度は-60℃~28℃程とされています。
このロス128bは、先ほどのティーガーデン星系と同じく、主星のロス128が大人しく、放射が比較的少ないため、生命が住むには比較的安定した環境が整っているかもしれません。
そんなロス128bのESIは発見当時は0.86になっていましたが、今はそのESIランキングから何故かロス128bは除外されています・・・。
でも少なくとも地球に環境が近い惑星であることは確かなので、ティーガーデン星の惑星へ旅行に行く際の休憩ポイントなどにはなるかもしれないですね!
「グリーゼ581」系の惑星
4つ目は「グリーゼ581」系の惑星です!
地球からは20光年離れている赤色矮星ですが、この名前をどこかで聞いたことあると思った方もいるのではないでしょうか?
実はこの恒星、あの宇宙戦艦ヤマトのリメイクである「宇宙戦艦ヤマト2199」など様々なSF作品に登場しているんです。
その理由として、ハビタブルゾーンの中に複数個の惑星が存在しており、その中には地球に似ている惑星もあるとして高い関心を集めているからです!
これまでグリーゼ581には6個の惑星が確認され、発見順がバラバラのため、恒星に近い順にe・b・c・g・d・fと命名されています。
このうち、ハビタブルゾーン内に位置するのはc・g・dの3つです!
いずれも地球の数倍以上の質量を持つ大型の岩石惑星とされています。
Sandboxのハビタブルゾーンデータでは、cは気温が高いことを示す赤いゾーンに入ってますが、気温は数℃程度で維持されてますね。
ESIの値はcが0.703、gが0.889、dが0.739といずれも高水準になっています!
本当は存在しない!?
ここまで聞くと、とても賑やかな惑星系でSF作品によく登場するのも頷けますが、実はこの惑星系にはある疑惑が投げかけられています。
それは、いくつかの惑星は存在していないかもしれないというものです。
実は発見後に行われた観測により、fとgの存在を示すとされた観測データは人工的に生まれてしまった偽のデータである可能性が指摘されたのです。
そのため2つの惑星は実際には存在しない可能性が高くなり、今では存在しない惑星として扱われることが多いです。
ハビタブルゾーンのど真ん中を公転し、ESIが最も高かったgは存在しない可能性が高いとされたグリーゼ581系ですが、追い討ちはさらに続きます。
なんとgの一つ後ろを公転し、ハビタブルゾーンの外側を公転しているdにも2014年に存在を疑問視する研究結果が報告されているのです・・・。
dも存在しないとすると、残ったハビタブルゾーン内にある惑星はいよいよcだけになってしまいました・・・。
グリーゼ581は、一度はハビタブルゾーン内に3つも惑星があるとされ注目を集めたにもかかわらず、少し残念な現状を迎えてしまった惑星系なのです。
さらにこのままcまで消されたらグリーゼ581系は何も取り柄のない惑星系になってしまうので、cは僕が身を呈して守り抜こうと思っています!
くじら座タウ星e
5つ目は「くじら座タウ星」系の惑星です!
地球から11.9光年離れている惑星系ですが、こちらも中にはどこかで聞き覚えのある名前だと思った人もいるのではないでしょうか?
実はこの惑星系はあのゴジラのアニメーション映画、通称アニゴジに登場していた惑星系で、その劇中でくじら座タウ星eという惑星が登場します。
このくじら座タウ星eは紛れもなく実在する惑星で、2012年に惑星候補として発見され、2017年にその存在が確定しました。
質量は地球の3.9倍以上あるとされています。
これまで紹介した惑星とくじら座タウ星eの大きく異なる点として、主星の種類の違いがあります。
これまで紹介してきた惑星はいずれも太陽より小さな赤色矮星を公転しており、仮に生命が存在できるとしても地球の環境とは大きく異なっている可能性もあります。
しかし、くじら座タウ星は比較的、太陽と似ている恒星で、大きさや質量は太陽の8割、表面温度は5000℃ほどになっています。
このようにくじら座タウ星は近くて太陽に似ている恒星の一つであったので、惑星が発見される50年以上前から電波を用いた地球外生命体の探査が行われてきました。
そして、太陽に似た恒星を回る惑星に限定すると、このくじら座タウ星eが最も地球に近い生命が存在できそうな惑星になるんです。
そんなくじら座タウ星eのESIは0.74!
今のところ23位タイの順位となっています。
さらに、その外側には同じくハビタブルゾーン内を公転しているとされるくじら座タウ星fという惑星も存在しています。
惑星fはハビタブルゾーンに入ってから10億年程度しか経過していないため、生命が存在する可能性は薄いとも考えられています。
その他にも宇宙戦艦ヤマトIIIに登場したバーナード星を公転する惑星や、115億年も前から存在する惑星なども太陽系のすぐ近くの恒星で発見されており、
木星のような大きめの惑星も含め、これからも太陽系近傍にある惑星はどんどん増えていくと予想されています!
結論: 地球にもどんどん友達が出来ていく・・・(泣)