どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「いて座A*に最も近くで虐められる恒星S2」というテーマで動画をお送りしてきます。
目次
これはブラックホール被害者の会です。
このように銀河系中心のブラックホールいて座A*は、太陽の430万倍という強大な重力によって周囲の恒星すらもこのようにぶん回しています!
その中でも最もいて座A*の近くで被害を受けているこちらの恒星が今回の主役であるS2です。
彼がおかれている環境を知ったとき、太陽系がいかに平和なのか実感できるはずです!
S2ってどんな恒星?
まずはS2の基本スペックを紹介します!
S2は太陽の質量の20倍ある、かなりハイスペックな恒星です。
地球から肉眼で見える恒星で例えるならリゲルやベテルギウスクラスでしょうか!
ただし中年のリゲル、老人のベテルギウスと違い、かなり若く安定しているため、小柄で半径は太陽の10倍前後しかありません。
その分表面温度は2−3万℃程度あり、その放出エネルギーは太陽の6万倍程度と、非常にエネルギッシュです!
こんな将来有望なはずの若々しい恒星ですが、生まれた環境が環境なだけにひどい仕打ちを受け続けているんですね…
S2が置かれる過酷な環境とは?
S2は最も近い時で中心のブラックホールから120AU(1AU=地球と太陽の距離≒1.5億km)の位置を公転しています。
画像内側に小さな白い円がありますが、これは太陽系最遠の惑星海王星の軌道です。
海王星と太陽の距離は30AUなので、S2はそれよりもずっと遠い場所を公転しています。
太陽系の海王星の公転周期は165年でが、S2はどれくらい時間をかけて銀河系中心のブラックホールを公転しているのでしょうか?
S2の公転周期は実はなんとたったの15.9年で、これだけ遠いのに太陽系の海王星と比べて10分の1しか1周する時間がかかりません!
中心のブラックホールの重力があまりに強いので、超高速で公転しないと遠心力で対抗できないんですね。
その公転速度は最も近い時でなんと7700km/s!!
ちなみに地球が太陽を公転する速度は30km/sです。
しかも最も近いとはいえ120AUも離れてこれですから、いかにその重力がヤバヤバなのかがわかりますねw
もしもいて座A*から1AUの位置を公転したら
ちなみに地球と太陽と同じ1AUの距離にまでブラックホールに近づくと、その天体の公転速度は62000km/sになります。
これは光速の20%です!
そしてこの地球の公転周期はなんと4.24時間!!
日じゃなくて時間です。
たった4時間で5億kmもの距離を移動してしまいます。
恐るべし超大質量ブラックホール…
S2は身を挺して研究に貢献してくれている
さて、S2に話を戻しますが、銀河系中心のブラックホールというのは実はこのS2の公転軌道と周期を観測することによってその質量を割り出しています。
実際10年間に及びS2を観測することでその軌道と周期を割り出し、中心には太陽の430万倍という恐るべき質量を持つブラックホールがあると突き止めました。
かなりスリリングな環境にいるS2ですが、遥か2万7000光年離れたところにいる人類にその身を挺して貢献してくれていたんですね!
結論:S2「いやあの、ほんと助けてくれ」