どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「なぜ水星と金星には衛星がないのか」をテーマに動画をお送りします。
目次
太陽系の衛星事情
私たちの住む地球には、お馴染みの月という巨大な衛星が存在しています。
少し太陽から離れたところにある火星にも、
小さいながらもフォボスとダイモスという2つの衛星があります。
それ以遠のガス惑星たちは質量が大きいため、
木星は79個、土星65個、天王星27個、海王星14個(2019年4月現在)
とどれも非常に多くの衛星を持っています。
さらには月より小さい冥王星がなんと5個も衛星を持っていたり、半径わずか130㎞ほどの小惑星が衛星を2つも持っていたり、意外と衛星はありふれているように思えます。
ですが冥王星や小惑星よりはるかに大きな水星、さらには地球と同程度に大きい金星までもが一つも衛星を持つことができていません!
他の天体からすれば惑星はカリスマ性が高く憧れの的でもおかしくないのですが、なぜ水星と金星はモテないのでしょうか?
何か致命的な原因があるはず…
ヒル球
ヒル球って何?
その理由を知るには「ヒル球」という概念が役立ちます。
これは自身の重力が優勢である領域のことを指します。
例えば地球と太陽があったとき、月は地球の重力に捕らえられているので、太陽の重力より地球の重力が優勢な所、つまりヒル球の中に存在しているわけです。
もちろん同じことが他の衛星でも言え、全ての衛星はヒル球内に存在しているということになります。
これを逆に言うと、ヒル球が大きいほど重力が及ぶ範囲が広いので、衛星をたくさん持ちやすいということになります。
ではヒル球の大きさはどんな要因で決まるのでしょうか?
ヒル球の数式
こちらがヒル球の半径aを表す数式になります!
太陽系の場合、rが太陽との距離、M1が太陽の質量、M2が自身の質量を表します。
太陽系内ならM1は一定なので無視し、あとはrとM2が大きいほどヒル球が大きくなることがわかります。
つまり衛星の持ちやすさはその天体の質量M2だけでなく、太陽との距離rにも大きく影響していることがわかります!
水星と金星は太陽との距離が近い=rが小さいので、太陽からの重力の影響が強くヒル球も小さいのです。
これで太陽に近い水星と金星に衛星がない理由がわかりました。
本当にヒル球の大きさが衛星の所持に関係あるの?
ではこれが本当に正しいのか、水星と冥王星にそれぞれテニスボールを公転させて検証してみます。ちなみに水星は冥王星より6倍近く重いです。
水星で検証
水星との距離が10万㎞を超えたあたりで太陽に衛星を奪われてしまいました!
では今度は冥王星だとどこまで遠くで公転できるか試してみます。
冥王星で検証
さきほど水星が断念した5万㎞を軽々クリアしました!
さらに遠くまで公転させてみましょう。
先ほどの水星が断念した10万㎞の10倍も遠い100万㎞地点でも安定してテニスボールが公転できています!
次に置いた300万㎞地点では不安定になったものの、軽いはずの冥王星の方が大差で遠くまで衛星を持てていますね。
これで母なる太陽との距離感が近すぎると衛星ができないことがわかりました!
結論:どれだけイケメンでも親離れできないマザコンだとモテない