どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「ブラックホールって何者?」をテーマに動画をお送りしていきます。
目次
ブラックホールはどうやってできる?
まずブラックホールはどうやってできるのでしょうか?
ブラックホールは、太陽より質量が30倍以上重い恒星が超新星爆発を起こした後、その中心にできることがあります。
超新星爆発が起こる簡単な仕組みは以下の通りです!
まず恒星は中心部で起こる核融合反応による外側に膨張していく力と、重力による内側に落ち込んでいく力が釣り合っているため安定して存在できています。
質量の大きい恒星の場合核融合の末、最終的に中心核に鉄が生成されます。
鉄は最も安定な元素なので、それ以上核融合反応が起こらず、その時点で反応が停止してしまいます。
その後鉄が強いガンマ線によってヘリウムと中性子に分解されるという光崩壊という現象が起こり、さらに陽子と電子がくっついてこちらも中性子ができます。
光崩壊は温度が下がる現象なので、急激に温度が下がることで中心から外側へ膨張する圧力が弱まり内側へ落ちていく重力に負け、中心に向かって急速に落ち込んでいきます。これを重力崩壊と呼びます。
そして核には中性子のみが残り(これが中性子星)、核に落ち込んできた物質が勢いよくぶつかり、その反動で起きた衝撃波が恒星の外層へと勢いを増幅させながら伝わっていき、その外層を吹き飛ばして大爆発を引き起こすのです。
以上が簡単な超新星爆発が起こるメカニズムですが、その発生条件としては太陽質量の8倍以上の質量を持つ恒星だと中心に鉄が生じ、超新星爆発を起こすそうです!
さらに質量が太陽の30倍以上ある恒星だと、あまりの重力で中心部にある中性子星すら圧縮され、ブラックホールが残ると考えられています。
こちらのR136a1という、太陽の260倍という観測史上最重量の恒星があります。
このような「太陽の30倍以上重い恒星」が寿命を迎えると、超新星爆発を起こしたのち、その中心にブラックホールができます。
試しに宇宙シミュレーターuniverse sandbox 2を使って、R136a1を超新星爆発させてみましょう!!
どかーん❤️
あ!ちゃんとR136a1があった場所にブラックホールができていますね。
ブラックホールの構造は?
続いてブラックホールの基本的な構造を紹介していきます!
特異点
超新星爆発後、あまりの重力で核に中性子星すら残らなかったとき、重力の崩壊は止まらず中心の一点に向かって無限に圧縮が続いていきます。
このように物質を無限に飲み込み続けるブラックホールの中心の一点が、特異点です。
この特異点では体積0の領域に質量が集中しているため、密度が無限大となっています!
事象の地平面(事象の地平線)とシュワルツシルト半径
ブラックホールを外から見るとこのように真っ黒い球体のように見えて、その周囲は背景が歪んでいるように見えると考えられています。
この黒い球の面を事象の地平面(地平線)という風に呼んでいます。
ではなぜブラックホールはこのように見えるのでしょうか?
それはブラックホールの周囲では特異点を中心にあまりの重力のせいで空間が捻じ曲がっていて、そこからは光すら脱出することができないからです。
そこに何か黒い物体があるとかそういったものではなく、光すら脱出できないゆえそこからは何色の光も発されることがないために、真っ黒にみえるというわけですね!
なのでブラックホールの黒い部分に触れても何かにぶつかるということもなく、ただ特異点に向かって吸い込まれ続けるだけです。
そしてその周囲の背景が歪んで見えるのは、後ろから来た光が飲み込まれるまではいかないものの強大な重力で進路を歪められているからですね。
光すら出られないほど重力が強くなっているために真っ黒に見える領域の半径を、シュワルツシルト半径と呼びます。
そしてこの黒い領域に一度でも入り込んでしまったが最後、二度と外の世界に戻ってくることはできません!
なぜならこの宇宙の最高速度である光速で移動する光ですら抜け出せないほど重力が強いためです。
光速以上の速度は絶対に出せないので、もうこのブラックホールから抜け出す術は存在しません。
降着円盤
事象の地平面の周囲には、降着円盤と呼ばれるリング状の構造が渦巻いています。
これはブラックホールに捉えられた物質で構成されていて、あまりの重力で光速に近い速度まで加速されています!
それだけの速度でお互いがぶつかり合うことで数億度というとてつもない高温になっており、物凄く明るい光を放っています。
その輝きを語る例として、クエーサーという宇宙で最も明るい天体が挙げられます。
クエーサーは地球から数十億光年以上離れた位置で観測される天体ですが、その輝きの正体は恒星単体や銀河ではなく、銀河の中心にある太陽の数億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールの降着円盤であると考えられています。
クエーサーについては以下の記事で詳しく解説しているので、是非合わせてお読みください!
宇宙ジェット
超大質量ブラックホールの中には、光速に近い速度でジェットを放っているものもあります。
このジェットは宇宙ジェットと呼ばれ、なんと数千~数万光年に渡って行き届いています!
最近中心の太陽の65億倍もの質量を持つ超大質量ブラックホールが観測されたM87という銀河を観測すると、この宇宙ジェットが美しく広い範囲まで広がっていることが見て取れます。
残念ながら先日の初観測ではジェットの発生源の観測はできなかったので、今後の研究に期待がかかります!
ブラックホールは珍しい?
太陽の30倍質量が大きい恒星というのはとても珍しく、有名な赤色超巨星ベテルギウスや観測史上最大の恒星たて座UY星も十数倍しかありません。
このように本当に選ばれし恒星しかブラックホールになれないので、ブラックホールはめちゃくちゃ珍しい天体だと思われるかもしれません。
ですが実はブラックホールというのは宇宙にありふれています!
例えば最近は観測可能な宇宙の範囲で2兆個という銀河があると言われています。
そのほぼ全ての銀河の中心には大質量ブラックホールがあると言われていて、太陽系がある銀河系の中心にもいて座A*という太陽の400万倍重い超大質量ブラックホールがあります。
しかも銀河系の中だけでも、一説によると億単位でブラックホールが点在していると言われています。
このようにブラックホールというのは条件は厳しいですが、意外と宇宙にありふれている天体となっています。
ブラックホールはホーキング放射という現象が起こり、自然と蒸発し消滅しますが、10^60~10^90年というとてつもない年数がかかります。
無量大数でも10^68ですし、現在の宇宙の年齢137億年なんて10^10とかなんで、ブラックホールが蒸発するのははるかはるか遠い未来になります。
なのでブラックホールは恒星と違い一度できるとなくならず、どんどん溜まっていくためここまで数が多いと考えられます。
ブラックホールは吸収や合体を繰り返し成長する
ブラックホール同士が近づくと、合体して質量が大きくなります。
例えば観測史上最重量のR136a1を爆発させても、このように中心には太陽の15倍質量のブラックホールしか残っていません。
少なくとも周りの物質を吹き飛ばしているので、元の260倍より大きい質量のブラックホールが残ることはあり得ませんね。
ではなぜ銀河系の中心にあるいて座A*のような超大質量ブラックホールができるのでしょうか?
それの理由がブラックホール同士での合体です。
例えばブラックホールは恒星を飲み込んでしまいますが、その飲み込んだ分の質量は足し算になります。
いて座A*の質量を太陽のちょうど400万倍とすると、これが太陽を丸ごと飲み込めば400万1太陽質量になりますし、R136a1を丸ごと飲み込めば400万260太陽質量になりますね。
もっと言えばブラックホール同士でも質量の合体が起きます。それを繰り返すことでこのような大質量ブラックホールができたと言われています!
地球への影響は?
では銀河系に1億個あって地球に悪影響があるかと言いますと、今のところはありません!
一番近いブラックホールでも地球から3000光年離れています。宇宙全体で言えば近所ですが、恒星単位でいえば十分な距離があります。
肉眼でよく見える恒星で有名なものは1,000光年以内のものばかりですし、遠くてもせいぜい1000数百光年です。
なので恐ろしいブラックホールですが、3000光年は十分に遠い距離なので心配ありません。今後もっと近くに見つかるかもしれませんが…(恐怖)
それよりも地球内部の事情(特に人間同士の争い)を心配した方が得策でしょう!
結論:ワンピースは黒ひげが最強
ゴミアフィサイトうざい
一応本家なんですがそれは…