どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「観測史上最大のブラックホール連星」というテーマで動画をお送りしていきます。
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目次
史上最大級のBHを持つ「OJ 287」
今回の主役は、OJ 287という天体です。
Credit:大阪教育大学
画像中心部にあるのがOJ 287で、その周囲にある粒々は天の川銀河内の星々になります。
ですが実際はOJ 287は天の川銀河の直径10万光年を遥かに超える、地球から35億光年という途方もない彼方に存在する天体であると考えられています!
あまりに遠いのでこのシミュレーションでも再現されていません!
それだけ遠くから同じ天の川銀河内の星々と同じ明るさで輝いて見えるということは、いかにOJ 287が本来的に尋常じゃないほど明るい天体なのかが想像できますね!
事実OJ 287は宇宙で最も明るい天体とも呼ばれるクエーサーに分類される天体です。
そんなクエーサーの中でも特にブレーザーというタイプに分類される天体です。
クエーサーやブレーザーって何?
クエーサーやブレーザーについて軽く説明します。
まず銀河の核には基本的に超大質量ブラックホールがあります。
そしてその超大質量ブラックホールの周囲にある物質の量が多いほどブラックホールが多くの物質をこねくり回して銀河核が活発になり、逆に少ないと大人しくなります。
そのように銀河核にある超大質量ブラックホールの周囲の物質の量で銀河核の活発度合いが異なってくると考えられていますが、中でも最も活動的な銀河核のタイプを「クエーサー」と分類しています。
そしてクエーサーの中でも特に、銀河核の超大質量ブラックホールから放たれた高エネルギーのジェットがたまたま地球の方向に向いているものを、「ブレーザー」と呼んでいます。
今回のOJ 287はブレーザーです。
なのでOJ 287には超大質量ブラックホールがあると考えられていますが、その大きさはこれまで発見された全てのブラックホールの中でも最大級として有名です。
その質量はなんと太陽の180億倍!!
それまで観測されていたブラックホールの最大質量記録を実に6倍以上も上回った、完全に規格外のサイズのブラックホールという事になります。
OJ 287ブラックホールは連星!?
これだけでも十分に凄すぎるOJ 287ですが、更に面白い特徴があります。
それは11-12年周期で規則的に増光するということです。
Credit;大阪教育大学
今2つのOJ 287の映像を比較していますが、明らかに右の増光後のOJ 287の方が明るくなっているのが見て取れますね!なんと15倍の明るさにもなっているとか。
Credit: S. Zola & NASA/JPL
この増光の理由は、OJ 287は太陽の180億倍という特大のブラックホールの周囲に、もう一つ別の小さなブラックホールが公転しているからだと考えられています!
小さいブラックホールとは言っても、その質量は実に太陽の1.5億倍です。小さいとは…?(哲学)
ちなみに天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホールいて座A*の質量が太陽の430万倍程度なので、それのさらに30倍以上、並の銀河中心の超大質量ブラックホールより断然大きなブラックホールが、ぶん回されているのです!
そして衛星ブラックホールは徐々に主星ブラックホールに落ちていき、今から1万年後には合体すると考えられています。
OJ 287ブラックホールのサイズを比較!
では今回出演してくれたブラックホールたちを、そのサイズ感が伝わりやすいようにこの太陽系にお呼びしてみましょう!
まずはいて座A*からです。
太陽の430万倍の質量を持ついて座A*は、その事象の地平面(重力が強すぎて光すら抜け出せず、外からは真っ黒に見える領域)の半径が太陽の18倍にもなる巨大な天体です!
続いてOJ 287の本体ブラックホールの周囲を公転している、質量太陽の1.5億倍の衛星ブラックホールを呼んでみます!
めちゃくちゃ巨大です!!
事象の地平面の半径は約3AUで、太陽系の中心に置くと火星の軌道を丸呑みし、小惑星帯に差し掛かっています!(1AU=地球と太陽の距離≒1.5億㎞)
ですがこんな超巨大なブラックホールですら衛星で、本番は太陽の180億倍の質量を持つブラックホールです。
最後にそちらも呼んでみます!
あまりに巨大すぎますね…
事象の地平面の半径は355AU、太陽と冥王星の距離でも40AU前後で、既知の最も遠い太陽系天体でも現在地で130AU程度です。
既知の天体全てが丸呑みされてしまう巨大さです!
超巨大ブラックホールと超超巨大ブラックホールが連星を成すOJ 287、本当にヤバイ天体でした!
結論:OJ 287「ウチ来る?」いて座A*「あっ、結構です」