どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「相対性理論とはどういう理論なのか」というテーマで動画をお送りします。
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目次
相対性理論は何を基準にしているの?
相対性理論は、アルバート・アインシュタインが1905年に提唱した理論です。
この理論は、ニュートンの時代に完成した、時間と空間は絶対的なものである、つまり誰にとっても同じものであるものとして作られた理論とは違い、光の速さを絶対的な基準として考えた理論です。
そのため、時間や空間は「相対」的に変わってしまうのです。
つまり、場所によって、時間がゆっくり流れたり、空間が縮んでいたりする、と言うことなのです。
では、何故、アインシュタインは光の速さを基準にとったのでしょうか。
それには、あるひとつの実験が関わってきます。
マイケルソン・モーリーの実験(1887年)
1870年代、光の速さはおおよそ30万キロで、あらゆる方向に伝わることは知られていました。
そして、音が伝わるには空気が必要なように、光が宇宙空間を伝わるには、光を伝える物質が必要である、つまり、宇宙は光を伝える物質で満たされている、と考えていました。
そこで、当時の人々は、宇宙にはエーテルという物質で満たされていて、エーテルそのものは動かないのではないかと考えました。
そして、止まっているエーテルの中を地球が公転すると、公転する方向に、地球が太陽を公転する速度で「エーテルの風」が吹き荒れているはずだ、と考えました。
この場合、エーテルの風にのってやって来た光の速度は、エーテルの風の分だけ速くなり、反対に、エーテルの風に逆らってやってきた光の速度は、遅くなるはずです。
そこで、1887年、マイケルソンとモーリーは、このような装置を使って、エーテルの風速を計測しようと試みました。
エーテルの風は装置に向かって横から吹いているとして考えた場合、横方向の光は、エーテルの風を受けて光の速度が変わり、縦方向の光と比較して検出器に届くまでの時間が長くなります。
そして、光が到達した時間差に応じた縞模様を描きます。
また、地球は24時間で1回転するため、エーテルの風向きもそのつど変わります。
そのため、光が検出器に到達するまでの時間も変わり、描かれる縞模様も換わるはずです。
このようにして行われた実験の結果、エーテルの風による縞模様の変化は起こりませんでした。
それどころか、光を用いた実験ではエーテルの風速を観測することさえ出来なかったのです。
このように、光はエーテルの風を受けない存在である、という結果が出ました。
この実験結果に、多くの科学者は頭を悩ませることになります。
ある人は、彼らはイカサマを働いたのだといい、またある人は、エーテルの風が吹いている方向に空間が縮んだのだ、と。
そんななか、アインシュタインはこう考えました。
「光はエーテルの風の影響を受けないのではなく、エーテルそのものが存在しないのではないか。
そして、光の速さは誰にとっても同じ速さで、それ以外が相対的に変化しているのではないか。」
そして、アインシュタインは1つの考えに行き着きます。
光の速度を基準とした新しい理論を作ればいいのではないか。
これは光速度不変の原理と呼ばれ、この光速度不変の原理を基にして生まれた理論が相対性理論と発展していくのです。
相対性理論
さて、ここから相対性理論の説明に入ります。
相対性理論は、特殊相対性理論と一般相対性理論に分けられます。
この2つの違いは、ざっくり言うと「重力」を扱えない理論か、扱える理論か、ということになります。
重力を扱える理論を一般相対性理論、扱えない理論を特殊相対性理論と言うのですが、ここではまず特殊相対性理論から説明をしていきます。
それぞれの理論を扱う上で、頭の中で考える実験、「思考実験」と言うものが登場します。
皆さんも、ぜひ思考実験をして、実験の結果がどうなるかを考えてみてください
同時性の相対性
相対性理論を思考実験する上で、電車やエレベータなどが多く用いられます。
ここでは、一定の速度で動いている電車の中と外でそれぞれ観測する場合を考えて見ましょう。
電車の中央に電球を置いてみます。
そして、電球のあかりをつけます。
このとき、光が左右の壁に到達するまでの時間を比較してみます。
まずは、電車の中から観測する場合です。
このとき、左右の壁どちらが早く、ひかりは到達するでしょうか。
この場合、光は左右同じ速さで壁に向かって進みますので、同時に両端まで届いているように観測されます。
次は、同じ電車を外から観測してみましょう。
同じように、電車の中央に電球を置いてみます。
そして、電球のあかりをつけます。今度はどうでしょうか。
すると今度は、電車の後ろ側のほうが先に着きます。
光は電車の速度に左右されずいつも同じ速度で動いているため、このように観測されるのです。
2つの実験結果を比較してみましょう。
すると、電車の外から観測する場合と電車の中から観測する場合とで、結果が違ってしまいます。
観測する場所によって、同時に起こると思われることが同時ではなくなってしまいました。
これは、「観測する場所によって、時間の流れ方が違う」と解釈すれば都合がつきます。
時間の遅れ
今度は、一定の速度で動いている電車の地面に電球を置き、天井に届くまでの時間を考えて見ましょう。
まずは、電車の中から観測する場合です。
このとき、光はどのような線をえがいて天井に到達するでしょうか。
電車の中から観測する場合、光は垂直に天井に届いているように見えます。
次は、電車の外から観測する場合です。
この場合、光の進む角度はどうなるでしょうか。
この場合、光は電車の進む速度に応じて、斜めに進んでいるように見えます。
では、それぞれの実験結果を比較してみましょう。
するとどうでしょう。
光の速さを同じとした時、電車の外から観測すると、電車の中から観測するときに比べて、光が進む距離が長くなっているのが分かります。
つまり、電車の中から観測するより、電車の外から観測したほうが、光は長い時間を掛かって天井に到達した、と言うことになります。
今、斜めになっている光の軌道を垂直に起こして見ましょう。
すると、光は天井を突き抜けていることが分かります。
この突き抜けた分だけ余分に時間が掛かっているのです。
言い換えると、電車の外から見ると、電車の中は、天井を突き抜けた分だけ時間の進み方がゆっくりになっている、と考えることが出来るのです。
電車の速度を上げると、更に角度がつき、天井を突き抜ける部分が長くなります。
つまり、速度を上げればあげるほど、「外から観測した時、中の時間はゆっくり流れるように見える」と言うことができます。
このように、動いている場所では、止まっている場所よりも時間がゆっくり進むことを、相対性理論における「時間の遅れ」と言います。
お互いがお互いに遅れる話
実は、相対性理論では、この時間の遅れ方は、視点によって変わります。
地球上から観測すると、宇宙船は高速で動いているようにみえます。
ですので、地球上からみた宇宙線は時間の進みかたが遅くなっているのです。
では、宇宙船から地球を見たらどのように見えるのでしょうか。
こんどは、宇宙船からは地球の方が高速で動いているように見えるはずです。
つまり、宇宙船にいる人にとっては、地球の時間の進みが遅くなっているように見えるのです。
このように、時間の遅れは、観測する場所によって代わり、それぞれがお互いに、相手は時間の進みが遅いのだと感じているのです。
ローレンツ収縮
では、今度は地球を飛び出し、猛スピードで宇宙を旅行している状態を考えて見ます。
ここでは、地球から冥王星に光を飛ばすのを地球から観測する場合と、宇宙船で冥王星に向かうのを宇宙船の中から観測する場合を考えてみます。
まずは、地球から観測する場合を考えて見ます。
冥王星が光の速さで5時間掛かる距離に存在する時、光は何時間掛かって冥王星に到達するでしょうか。
この場合、当たり前ですが、地球から観測すると光は5時間掛かって冥王星に到達するように見えます。
では、宇宙船に乗り込んだ人から見たらどうでしょうか。
先ほど説明したように、移動している物体の中では、地球に比べて時間がゆっくり進んでいます。
そのため、5時間よりも短い時間で到達できることもあるのです。
今回は、分かりやすいように1時間で到達した、と考えて見ます。
さて、ここでおかしなことが起こります。
光は、どの観測者にとっても最速です。
しかし、光の速度で5時間掛かる距離なのに、宇宙船の時計は1時間しか経っていないのです。
何故このようなことが起こってしまうんでしょうか?
それは、宇宙船から見た地球から冥王星までの距離は、地球から見た冥王星までの距離よりもずっと短くなっているからなのです。
言い換えると、宇宙船が高速で移動する分だけ、宇宙船の中にいる人にとっては空間が縮んでいると解釈することが出来ます。
空間が縮んでいれば、光の速度よりも遅くても、光より短い時間で冥王星に到達できることが出来るのです。
高速で移動すればするほど、周囲の空間は縮んでいく。
これが相対性理論におけるローレンツ収縮です。
実は、このローレンツという人は、マイケルソン・モーリーの実験をみて、エーテルの風が吹いている方向に空間が縮んでいる、と考えた人です。
そしてその発想が、この相対性理論に繋がっているのです。
E=mc2
次は、アインシュタインの最も有名な数式である、E=mc^2についてです。
今回は計算は省略して、これがざっくりとどのような意味を持っているのか、ということについて語っていこうかと思います。
ここでも、思考実験が登場します。
今回は、宇宙空間を無限に加速し続けるロケットを考えて見ます。
このとき、ロケットは燃料を消費しないで加速できるものとして考えてください。
このように、無限に加速し続けると、いつかは光の速さに近づき、やがて超えてしまうのではないかと思われます。
しかし、相対性理論では光は最速の存在である、として理論を扱うので、いくら加速にエネルギーを使っても、決して光速を超えることは出来ません。
では、このとき、加速するために使われたエネルギーはどこに行ってしまったんでしょうか。
実は、相対性理論によれば、そのエネルギーは質量として変換されているのです。
質量とは、物体の加速のしにくさをあらわし、物体が重くなると加速させるのにより大きなエネルギーを必要とします。
つまり、速度が上がればあがるほど、言い換えれば、その物体が大きなエネルギーを持てば持つほど、その質量は増えて加速しにくくなります。
そしてより多くのエネルギーが必要になります。
光速まで速度を上げると、質量は無限に大きくなり、無限にエネルギーが必要になります。
つまり、どれだけエネルギーを与えても、決して光の速さを超えることが出来ないのです。
エネルギーを質量に変換することが出来るので、当然質量をエネルギーとして取り出すことが出来ます。
このとき、1グラムの質量をエネルギーに変換すると原爆1つ分のエネルギーになります。
恒星が輝いたり、原爆が町を破壊するのは、質量をエネルギーに変換しているからなのです。
ここで、先ほどの数式に戻ってみましょう。
エネルギーは質量に光速を2回掛けたもの、という意味になります。
このとき、光速は誰からみても同じ速さ、つまり一定なので、この式は質量とエネルギーの合計は一定であるということになるのです。
等価原理
さて、いよいよ2つ目の相対性理論、一般相対性理論の説明に入ります。
この一般相対性理論は、先ほども説明したように、重力を扱える相対性理論です。
これは一体どういうことなのでしょうか。
ここでも1つの思考実験を用いて考えて見ましょう。
此処で、ワイヤーが切れ、地球の重力に従って落下するエレベータを考えて見ます。
エレベータの外にいる人にとっては、エレベータが地球の重力に引かれて落ちているように感じられます。
しかし、エレベータの中にいる人にとっては、地球の重力を感じられなくなります。
つまり、エレベータの中は無重力と同じような状態にある、ということが出来ます。
また、強い加速度で飛行機が離陸する時、後ろに抑えつけられるような感覚があるとおもいます。
このとき、飛行機の中は、後ろがわに重力が掛かっている、と表現することが出来ます。
つまり、重力は作り出すことも、消すことも出来るのです。
また、重力による現象と加速度による現象は、区別して考えることが出来ません。
相対性理論の世界では、重力と加速度は同じものであると考えます。
これを「等価原理」と呼びます。
一般相対性理論
ではここで、落下するエレベータの壁に電球をつけて、その光の道筋を見てみることにします。
まずは、エレベータの中から観測します。
すると、どのような道筋で光は反対側の壁に到達するでしょうか。
このとき、光はまっすぐ進んで反対側の壁に到達するように見えます。
次は、同じエレベータを外から観測してみましょう。
このとき、光の道筋はどのような軌道を描いているように見えるでしょうか。
なんと、エレベータの外から観測すると、光が曲がっているように見えてしまうのです。
何度も言っていますが、光は最速の存在です。
なので、最短経路を通って反対側の壁に到達するはずです。
多くの場合、最短経路は直線で結ばれることになります。
しかし、重力の影響を受けて、最短経路は曲線になってしまい、より長い時間が必要になってしまったのです。
紫の線は、光がまっすぐ進んだ場合に光が進んだ距離です。
この説明は、特殊相対性理論で説明が出来ます。
しかし、実際に光が進んだ道筋は黄色の線であり、紫の線より更に長い時間が必要になってしまいました。
つまり、「重力によって時間の遅れが発生してしまった」、ということが出来ます。
では、ここで、光が曲がってしまったのは、重力によって時間と空間が曲がってしまったからとするならばどうでしょうか。
こうして、1916年、アインシュタインは、これまでの特殊相対性理論では説明できなかった、重力や加速度を含た、新しい相対性理論である、「一般相対性理論」を提唱しました。
重力レンズ効果
ここで、時空を網目として考えてみることにします。
地球を含めてあらゆる物質には重力があるので、その重力によって時空そのものが歪みます。
ここでは、時空のゆがみを網目のゆがみで表現しています。
そして、地球の近くを通る光は、地球の重力によってゆがめられた時空にそって進みます。
その結果、光は曲がった軌道を描きます。
この現象はどんな天体でも当てはまります。
当然、太陽でも同じことが言えます。
ここで、太陽の向こう側にある天体を観測する場合を考えて見ます。
遠くの星から発せられた光は、太陽の重力のせいで時空が歪んでいるため、それによって光が曲がってしまい、曲がった光が地球に届きます。
しかし、地球から観測すると、光はまっすぐ地球に届けられたように観測されます。
そのため、地球から見ると見かけの星の位置が、実際の星の位置とずれているように観測されます。
この現象を、重力レンズ効果といいます。
この現象を検証する実験として有名なのが、1919年に起こった日蝕によるものです。
日蝕のときとそうでないときで、太陽の重力によってどれだけ星がずれているかを観測しました。
このとき、星の位置がずれているのであれば、太陽の重力によって光が曲がっている、つまり一般相対性理論は正しいということが出来ます。
そして、実験の結果、本当に星の位置がずれていることが確認されました。
これによって、一般相対性理論が正しいことが証明されたのです。
話をもどすと、一般相対性理論によると、重くて、小さい天体ほど時空のゆがみが大きくなります。
つまり、天体から脱出するのが難しくなるということになります。
地球の場合、地球の重力を振り切って宇宙に飛び出すのに必要な速度、すなわち脱出速度は秒速11キロです。
同様に、太陽の場合は秒速617キロ、最強の恒星であるR136a1の場合、秒速1971キロです。
つまり、R136a1から脱出するには秒速2000キロ近く出さなければならない、ということになります。
では、もし、どこまでも重たくて、どこまでも小さい天体が存在するならばどうでしょうか。
このとき、脱出するために必要な速度はどこまでも速くなります。
そのうち、光でも脱出できなくなってしまうことでしょう。
では、重力が強すぎて、光の速度でさえも脱出できないほど、時空がゆがんでいる天体があるとすれば、それはなんでしょうか。
実は、それがブラックホールなのです。
アインシュタインは、ブラックホールの存在は、計算式の上で存在するだけで、現実の宇宙には存在しないと考えていました。
しかし、のちにブラックホールの存在が明らかになり、そして、2019年には、ブラックホールの撮影に成功しました。
この画像が有名ですね。
あくまで計算上の存在でしかなかったブラックホールが、こうして写真としてみられるなんて、ホントにアインシュタインは凄いと思います。
人工衛星のお話
では、最後に、この地球上で相対性理論が活躍している例を紹介してみようと思います。
地球のはるか上空を飛び回っている人工衛星、ここではGPS衛星を考えてみましょう。
GPSとは、衛星に受信された時刻と、通信に掛かった時間もとに位置を割り出すシステムのことです。
そのため、正確な位置を知らせるために、GPS衛星にはとても精確な時計が積んであります。
さて、ここで考えてみましょう。このGPSに積んである時計は、地球上にある時計と全く同じ時を刻むでしょうか?
相対性理論を基にして考えると、そうともいえなさそうですね。
では、具体的にどれくらいずれているのでしょうか。
まず、GPS衛星は地球から高度2万キロの距離を、秒速3.87キロで回っています。
これは、地球の自転速度よりもずっと速い速度です。
そのため、特殊相対性理論にもとづいて、地球よりも時間はゆっくり進みます。
では、重力についてはどうでしょうか。
GPS衛星の回る高度2万キロ地点の重力は、地上の重力よりも弱くなります。
このため、一般相対性理論によって、地球よりも時間は早く進みます。
これを計算すると、速度によって1日あたり7.11マイクロ秒遅れ、重力によって1日あたり45.7マイクロ秒進みます。
これを合計すると、GPS衛星に積んである時計は、地上においてある時計と比べて、1日に38.6マイクロ秒進むことになります。
そして、GPS衛星は光を使って通信を行っており、光は38.6マイクロ秒の間に11.5キロ進みます。
そのため、地上で精確な時計では、1日に11.5キロの誤差が生まれてしまうのです。
それではGPSとして全く機能しなくなってしまうので、GPS衛星には地上の時計よりも38.6マイクロ秒遅れるよう設定してあるのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
相対性理論のこと、少しでも理解してくれたらありがたいです。
このように、相対性理論は我々の宇宙に密接に関わっていることが分かります。
皆さんも、宇宙旅行をする際は、ぜひ相対性理論のことを考えてみてください。
以上、宇宙ヤバイチャンネル中の人のキャベチでした。
さぃならー