どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「新たな分類の爆発現象が観測される」というテーマで動画をお送りしていきます。
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新たな分類の爆発が観測される!?
2016年に見つかった「CSS161010」、2018年に見つかった「ZTF18abvkwla」「AT2018cow」と命名された3つの現象は、一般的な超新星爆発よりも明るく、突発的な現象であるという特徴がありました。
さらに超新星爆発はX線やガンマ線など波長が短い電磁波が強く観測されるのが一般的ですが、先述の3つの突発現象では波長が長い電磁波である電波も強く放射しているという点でも他の超新星とは異なった性質を持っていました。
Credit: Bill Saxton, NRAO/AUI/NSF
それらについて研究が行われた結果、これらの突発現象は「FBOT(Fast Blue Optical Transients)」と命名された新たな分類の爆発現象であると考えられるようになりました!
blueと名がある通り、他の超新星より青みがかって見えるのも一つの特徴であるようです。
FBOTが極端に明るいのは、星が超新星爆発を起こす際に周囲に放出されていた大量の水素ガスが、爆発の衝撃波によって極めて明るく輝いていたことが原因であるようです。
そして他の爆発には見られない強力な電波も見られるのは、超新星爆発時に星の核が圧縮されることで生成された中性子星やブラックホールなどのコンパクト天体が放つジェットが原因であると考えられています。
Credit: Bill Saxton, NRAO/AUI/NSF
これらは左から通常の超新星、ガンマ線バースト、そしてFBOTという超新星絡みの高エネルギー現象を並べて視覚的に比較しやすくした画像です。
確かに通常の超新星とFBOTを比べると、ジェットが放たれているという意味で大きな違いがあります。
このジェットが地球からは強力な電波として観測されます!
電波の観測によって、FBOTの一例であるCSS161010では、太陽の1~10%の質量に相当する物質が光速の半分以上にまで加速され放射されていることが判明しました!
本当に途方もないエネルギーです…
Credit:NASA
そして同じく超新星絡みの突発現象として、ガンマ線バーストが挙げられます。
このガンマ線バーストとの決定的な違いは、周囲に水素ガスがあるか否かであるという事だそうです。
中間質量ブラックホールの手掛かりになる?
Credit:NASA’s Goddard Space Flight Center
FBOTは星の一生の終わりに起こる超新星爆発と絡んだ現象であると解説しましたが、実は巨大なブラックホールに星が砕かれた際に起こる現象である可能性もあるようです。
ブラックホールは質量ごとに3つに分類されていて、軽い順に恒星ブラックホール、中間質量ブラックホール、そして超大質量ブラックホールとなっています。
恒星ブラックホールは他の恒星と連星を組み、恒星のガスを奪い取ることで強力なX線を放つことがあるため、地球からでも観測例は少なくありません。
そして超大質量ブラックホールは大体の銀河の中心部に存在している上、大量の物質を飲み込んで超強力なエネルギーを放っている場合が多いため、地球からでも多くの超大質量ブラックホールが見つかっています。
ですが中間質量ブラックホールについては連星に属しているわけでもなければ銀河中心部のように大量の物質がある場所にいるわけでもないため、観測が難しいのです。
そんな観測が難しい中間質量ブラックホールですが、今回のFBOTはそれを発見する手掛かりになるかもしれないと考えられているんですね!
今回FBOTの候補となった2016年と2018年に発見された3つの現象ですが、実はこれらの発生源は全て天の川銀河よりも小さい矮小銀河にて発見されました。
一般的な銀河の中心部には超大質量ブラックホールがある場合がほとんどですが、小柄な矮小銀河は中心のブラックホールも小柄で、中間質量ブラックホールがある場合も多いと考えられています。
そんな矮小銀河で起こったFBOTがブラックホールによって星が砕かれることによって起こる現象だとしたら、星を砕いたブラックホールは矮小銀河の中心部にある中間質量ブラックホールである可能性があります!
そのため、FBOTは数少ない中間質量ブラックホールの手掛かりとなる貴重な現象になるかもしれないのです。
結論:宇宙にはいろんな爆発があって分類が難しい
情報参照元:https://public.nrao.edu/news/new-class-cosmic-explosions/
サムネイル画像クレジット:Credit: Bill Saxton, NRAO/AUI/NSF