どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「超大量の水を放ち続ける天体の謎」というテーマで動画をお送りしていきます。
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地球からペルセウス座の方向に750光年ほど離れた位置に、L1448-MMという天体があります。
この天体は原始星という、周囲のガスが集まって太陽のような恒星という天体ができる前段階の星です。
そんなL1448-MMは、なんと毎秒アマゾン川の水量の1億倍にも相当する水を、秒速50㎞というとてつもない速度で放出し続けているそうなんです!
そんな奇妙すぎる天体について今回は掘り下げましょう。
L1448-MMが放水する仕組みとは?
Credit:NASA/Caltech
原始星L1448-MMの周囲には、観測によって大量の水が存在していることが明らかになりました。
原始星の周囲には原始惑星系円盤という、大量のガスや塵が集まった円盤状の構造があります。
そんなガスや塵は重力で引きつけられ、次第に原始星に落ちて行くと考えられています。
Credit:https://www.landseastudios.com/birthing-star.html
ですが一部の物質は原始星に飲み込まれることなく、原始星の自転軸の極の方向からジェットとして放たれます。
ブラックホールも周囲の降着円盤の物質を引き寄せて極方向からジェットを放つので、それと似ていますね!
原始星L1448-MMの周囲にある水は、ジェットの流れに入り、10万℃という超高温に加熱させられると考えられています!
そのことから、L1448-MMは「大量の水を勢いよく放出する天体」と言われるようになったんですね。
10万℃にまで加熱させられた水は、私たちが日常で目にする水分子とは異なる状態になっていると考えられます。
原子や分子は、熱運動と呼ばれる振動をしています。
振動が激しくなる、つまり高温になると、水分子の結合が外れて原子単位に分かれます。
これは解離と呼ばれる現象です。
さらに温度が上がると原子内の原子核と電子すらも離れ、陽イオンと電子が独立するようになります。
これを電離と呼び、電離した物質をプラズマと呼びます。
一度原始星L1448-MMのジェットに入り10万℃になった水は解離や電離が起きると考えられますが、その後周囲の冷たい星間物質とぶつかる事で急激に温度が下がり、原始星から7500億㎞も離れた地点で水分子になるそうです!
L1448-MMはありふれた存在かもしれない
そして興味深いことに、L1448-MMのような状態は全ての原始星が当たり前のように経験してきた状態である可能性があるようです。
もちろん私たちの太陽も元は原始星から始まりました。
その段階では原始惑星系円盤やジェットなどの構造もあったと考えられますが、周囲に水があればL1448-MMのような放水活動をしていたかもしれません!
さらにこのようなジェットの活動によって、原始星周囲にある星間物質が刺激され、それが新たな星の誕生を手助けしている可能性もあるそうです。
インパクトがありながらかつ神秘的な星の誕生にまで関与している…原始星L1448-MMのとても面白い特徴を紹介させていただきました!
結論:原始星はエンターテイナー
サムネイル画像クレジット:NASA/Caltech