どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「宇宙に実在する奇妙すぎる性質を持つ恒星4選」というテーマで動画をお送りしていきます。
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目次
今回は太陽のような恒星の中で、特に際立ったヤバイ性質を持った恒星を4つ紹介していきます!
回転が速すぎて円盤ができた恒星
Credit:ESA/hubble
まず最初に紹介するのは、自転速度が速すぎて円盤ができてしまった「VFTS 102」という恒星です!
遅かれ速かれ、全ての天体は一定の周期で自転しています。
もちろん地球も赤道上では460m/s、我らが太陽も赤道上で2㎞/sという速度で自転していることがわかっています。
天体の自転速度が速いほど、赤道上付近の遠心力が強くなり、天体を構成する物質が星の中心から離れるため、潰れた楕円体になっていきます。
特に恒星の場合はガスで成り立っているので、より赤道上でガスが中心から離れやすく、潰れた形に変形しやすい特徴があります。
ちなみに太陽は自転速度は2km/sでもかなり遅い方なので、綺麗な球に近い形です!
では発見されてきた中で最も潰れた形をした星は何でしょうか?
それがVFTS 102という恒星です!
なんとこの星に至っては610㎞/sという太陽の300倍を超えるすさまじい自転速度のために、ただ極端につぶれるだけでなく赤道付近のガスが強すぎる遠心力により重力を振り払い、恒星表面から離れて円盤を形成するに至っています!!
彗星のような「尾」を持つ星
Credit:NASA/JPL-Caltech/POSS-II/DSS
/C. Martin (Caltech)/M. Seibert(OCIW)
続いて紹介するのは、彗星のような尾を持つ星「ミラ」です。
上下はどちらもミラを撮影した同じアングルの画像ですが、上は紫外線、下は可視光で撮影されています。
可視光では見えませんが、紫外線で観測するとミラの後方に長い尾のようにガスが広がっていることがわかります!
まるで彗星のような神秘的な構造ですね。
ですが流石に恒星なだけあって、尾の規模も彗星とは桁違いです。
この尾はなんと実に約13光年にもわたって伸びていると考えられています!
太陽系からシリウスまでも8.6光年なので、恒星間をまたぐとてつもなく長い構造です。
ミラは非常に有名な脈動変光星でもあります。
ミラのような脈動変光星は恒星自身が収縮を繰り返し、縮んだ際に増光、膨張した際に減光することで変光するタイプの変光星です。
特にミラは地球から見た明るさを示す視等級が最大2.0から最も暗くて10.1と、肉眼で見えたり見えなかったりするほど変光の範囲が広いのが特徴です!
ミラの減光時、星が膨張している際は表面が中心から遠ざかることで重力の拘束が弱まるので、ミラの周囲にはガスがたくさん放出されています。
特にミラの場合は周囲にある物質と比べてミラ自体の移動速度が非常に速いために、このように一方向に尾のような形状でガスが広がっていったと考えられています!
熱くない、むしろ冷たい星!?
続いて紹介するのは、「WISE 0855−0714」という観測史上最も冷たい星です。
厳密には恒星ではなく褐色矮星に分類される天体ですが、惑星や小天体ともまた異なる天体なので紹介します!
地球の約320倍重い木星のさらに約13-75倍の質量を持つ天体は、惑星でもなく恒星でもない、その中間に位置する「褐色矮星」という天体に分類されます。
褐色矮星は質量が十分ではないために恒星のように核融合で安定して輝き続けることはないけど、誕生してすぐは重水素という一部の物質だけ核融合するほどには重いため惑星にも属さない天体です。
過去に短期間の核融合反応を起こしていたことから表面温度は500ー1900℃程度程度のものが多いですが、恒星のようにエネルギーの供給がないので、そこからはゆっくり時間をかけて冷えていく一方です。
その中でも最も低温な星として知られているWISE 0855-0714という褐色矮星の表面温度はなんと-48℃から-13℃と、地球と比べても非常に低温なんですね!
恒星と連星を成す褐色矮星なら恒星の熱で表面温度が維持されますが、WISE 0855-0714は単体で存在している褐色矮星なのでなおさら温度が冷えやすくなっています。
熱くない惑星外天体ということで、かなり冷たいですが、我慢して触ってみたい気もします!
ちなみにWISE 0855-0714は2014年の4月と極めて最近になって発見された天体ですが、地球からの距離はわずか7.27光年と、観測史上太陽系から4番目に近い天体系と考えられています。
それだけこの褐色矮星が暗く見つけにくいんですね!
接近しすぎて重なっている星
Credit:ESO/L. Calçada
最後に紹介するのは、お互いに重力的に結びついて公転しあう連星系の星同士が近づきすぎてもはや重なってしまっている星、「VFTS 352」です。
連星のうち一方の寿命が近づくと、一方の星だけが巨大化するため、連星の星同士の距離は近くなります。
なので、意外と接触連星系というのは宇宙の中でもありふれていると考えられています。
ですが中でも今回のVFTS 352は恒星の表面だけでなくその内側の外層まで共有している「過剰接触連星」に分類される激レアな連星系です!
とある研究によると2つの星を形成する物質全体の実に30%を共有しあっているほど、超濃厚接触している連星系であるそうです。
圧倒的密!
これらの二つの星はどちらも質量が太陽の28倍程度ある大質量星で、表面温度も4万℃を超えるため青い光を放って見えます。
そんなハイスペック恒星の双子は濃厚接触しながらお互いをわずか1.1日程度で公転しています!
最終的には2つの星は合体しより巨大な星になるか、もしくは合体後に崩壊してガンマ線バーストを放って散っていくと考えられています。
結論:太陽が普通の恒星でよかった
サムネイル画像クレジット:Credit:ESO/L. Calçada