どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「M87銀河と中心ブラックホールの特徴」について、高画質画像を交えつつ解説していきます!
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目次
M87とは
M87は、地球から5500万光年ほど離れた所にあるおとめ座銀河団という1500個前後の銀河の大集団のど真ん中に位置する特大サイズの銀河です。
Credit:ESO
M87の直径は12万光年ほどです。
これ自体は私たちの住む天の川銀河と大差ないですが、球状なので体積が大きく、全体で数兆単位の恒星が詰まっていると考えられています!
ちなみに天の川銀河の恒星は2500億個程度です。
そして恒星が球状に集まった小さい集団である球状星団は天の川銀河には100数十個ありますが、M87には実に15000個もの球状星団があるそう!
そして天の川銀河の質量が太陽の1.5兆倍程度あるのに対して、M87は実に100兆倍もの質量があると考えられています!
何もかもスケールが大きい銀河ですね。
ジェットとブラックホールがヤバイ
そしてこのM87といえば、ジェットを語らずには通れません!
Credit:NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)
M87の中心から勢いよくジェットが噴出している様子が画像からもうかがえます。
なんとこのジェット、放出されている部分では実に光速の99.9%を超える速度に到達していることが最近判明しています!ほぼ物質の速度の上限ですね。
とてつもないエネルギーで放たれたジェットは、放出地点からなんと7000-8000光年先まで広がっています!
太陽系から見るとこれは肉眼で見えるほぼ全ての星々の距離を超えてしまうほど遠い距離です。
これほどまでに高エネルギーのジェットを噴出する天体は、M87の中心に居座る超大質量ブラックホールだと考えられています。
天の川銀河の中心にもいて座A*という超大質量ブラックホールがあると考えられています。
それを公転する恒星の軌道と周期から、その質量は太陽の430万倍前後であると理解されています。
いて座A*でも、その事象の地平面の半径は太陽の18倍程度にもなります。
事象の地平面は重力が強すぎてそこから抜け出すために必要な速度が光速を超える領域です。
なので一度でも入ると光ですら脱出できず、外からは真っ黒に見えます。
そしてM87の中心にあるブラックホールはその質量が実に太陽の65億倍、いて座A*の1500倍にもなる超特大のモンスターブラックホールとなります!!
ブラックホールの事象の地平面の半径は質量に比例するので、M87の場合いて座A*の1500倍もの半径を持つ事象の地平面が広がっているという事になります。
これは太陽系でいうと冥王星の軌道を軽く超え、外縁天体の軌道まで丸呑みしてしまうほど恐ろしく巨大な領域という事になります!
これだけ巨大な領域に一度でも踏み込んだら最後、2度と出てくることはありません…
ブラックホールを史上初めて直接観測!
そしてこのM87を語る上でもう一つ絶対に外せないのが、中心ブラックホールの直接観測に成功したことです。
Credit:EHT Collaboration
去年2019年の4月、こちらの画像が公開されて世界中で大ニュースとなりました。
真ん中にあるのがブラックホールシャドウと呼ばれるもので、その中に事象の地平面があります。
そしてその周囲にはブラックホールの周囲を亜光速で公転し、擦れ合って摩擦熱で超高温になり輝きを放つ巨大な降着円盤も見られます。赤い色は着色されています。
この降着円盤のサイズは実に直径1000億㎞にもなります。
海王星の公転軌道の直径が90億㎞程度なので、いかにそれが巨大なのかがわかりますね!
そして降着円盤の温度は60億℃にも達します!!
大質量恒星の中心部にも劣らない桁違いの高温が晒されているわけなので、途方もないエネルギーを放出していることが容易に想像できますね…
5500万光年とかなり遠くにあるM87のブラックホールですが、これだけ巨大なので銀河系内のあらゆるブラックホールを差し置いて初の観測対象として選ばれました。
ついでに先ほどの壮大なジェットの謎も解明されればよかったのですが、残念ながら今回の画像にはジェットの根本は写されていませんでした。
今後より観測環境を整えていくことで、ジェットの根元を観測できたり、さらにより高画質な画像を複数枚撮影することで動画化できることも示唆されていたので、今後もブラックホールの観測には大いに期待がかかります!
M87は銀河自体もブラックホールもジェットも、全てが桁違いの特大スケールの銀河でした!
結論:M87「もっとかっこいい名前をください」